行動療法とは、学習理論に基づき問題行動を適応的方向に変容させることを
目的として行われる諸技法を指します。

基本的な考え方は、イワン・パブロフの条件反射理論に端を発しており、
その後J.B. ワトソンの行動主義、エドワード・ソーンダイクの学習心理学、
B .F.スキナーのオペラント条件づけ、ジョセフ・ウォルピの拮抗制止と発展し、
1959 年に E .J . アイゼンクによって行動療法の名称がー般化 しました。
行動療法の主たる対象は、
不安 ・恐怖 ・強迫症状を呈する神経症や心身症、夜尿症、チック、吃音、
性行動の異常、アルコールや薬物への依存などに適用されています。

学習理論



行動療法では、私たちの習慣や行動は、適切とされるものも不適切とされるものも
学習によって身につくと考えます。学習とは、人間の行動ー般に関し、
経験の反復の結果生じる比較的永続的な行動の変容過程、あるいはその結果と定義されます。

<レスポンデント条件づけ(古典的条件づけ)>

この条件づけは、感情・態度など、反射や不随意反応の条件づけを指します。
例えば、梅干を口の中に含むと睡液が分泌されます。
これは自律神経系の反応による反射です。
しかし、梅干を何度か食べたことのある人は 「梅干」と聞いただけで唾液が分泌されます。
これは梅干はすっぱいという経験をし、学習した結果生まれた反応です。
これを条件反射と言い、この条件反射を生じさせるように
意図的に操作することを条件づけと言います。
レスポンデント条件づけはパブロフの研究によります。
パブロフは、犬に肉粉を与えて唾液分泌反応を観察する中で、
口の中に餌を入れる直前の刺激(実験者の足音や餌を見ることなど)によって
唾液の分泌が起こることに気づきました。
そこで餌を与える前にベルを鳴らすことを何度も繰り返すことで、
やがてベルの音だけで犬が睡液を分泌するように
条件づけできることを実験により証明しました。

オペラント条件づけ(道具的条件づけ)

この条件づけは、ある自発的な行動の条件づけを指します。
ある行動をとったときに、その行動の結果が満足するものである場合、
その行動は繰り返され(強化)、不快なものである場合、その行動は減少します(抑制)。
このことを利用して、ある特定の行動に対して報酬や罰を与えることにより、

その行動の出現傾向を操作する過程をオペラント条件づけと言います。
オペラント条件づけの代表的な実験はスキナーによるもので、
バーを押すと餌が出る仕掛けの箱の中に空腹状態のねずみを入れました。
偶然にバーを押すことにより餌(報酬)を得る経験を繰り返すうちに、
ねずみはバーを押すという行動を繰り返すようになりました。

<モデリング>



態度や振る舞いを観察し真似ることがモデリング言われる学習の仕方です。
私たちの行動が、自ら試行錯誤してその結果を習得していく
直接学習だけで獲得されるとしたら、それは大変苦労が多く、
危険であると考えられることから、モデリングによる学習は
重要な位置を占めると考えられています。
このモデリングにより共感、攻撃性、恐怖なとさまさまな行動に
変化が見られることが実験的にも確認されています。
例えばバンデューラは、犬恐怖症の少年に、
犬と楽しく戯れている人の様子をモデルとして見せることにより、
その少年の犬恐怖を除去する実験(治療)を行いました。

行動療法の種類

<拮抗制止法(逆制止法)>

神経症の多くは、不安を中核として形成された不適応習慣と考えられます。
その不安の除去を目的とする技法が拮抗制止法や後述する系統的脱感作法です。
抗制止あるいは逆制止とは、ウォルピが唱えた原理で
「不安を誘発する刺激の下で、不安と両立し得ない感情を引き起こすことができれば、
その刺激と不安との結合は減弱する」ことを指します。
この原理を利用して、すでに形成されている不安・恐怖・緊張などの条件反応を除去するために、
その条件反応とは同時に起こり得ない新しい条件反応を形成していく方法が拮抗制止法です。

例えば、電車に乗ると不安になるという反応を制止するために、
電車という刺激に対してリラクセーションなどを用いて不安と拮抗する
新しい反応を条件づけます。
不安を制止する反応としては弛緩反応、主張反応、摂食反応など
さまざまなものがありますが、実際のカウンセリングではリラクセーションや
自律訓練法などの弛緩反応がよく用いられます。
以下に、不安制止反応としてリラクセーションを用いる場合の
具体的な拮抗制止法の手順を示します。
前段階として、不安制止反応としてのリラクセーションをクライエントに習得してもらう。

 

課題場面

(電車に乗っている、人前で話をしているなど、不安・恐怖. 緊張を感じる場面)を
イメージ想起してもらう。
「不安を感じたらうなづきましょう」「その不安は 100 点満点で何点 ぐらいですか」等、
イメージを浮かべたことにより不安が起こったことを確認する。
「それではまたリラクセーションを行ってい きましょう」等、
再度 リラクセーションを行ってもらう。
「気持ちが落ち着いたらうなずきましょう」「不安は何点ぐらいに減りましたか」等、
不安が減少したことを確認する。
この手続きを3回程度繰り返す。

通常この手続きを数回繰り返すことで、イメージ想起をしても
クライエントが不安を感じなくなります。

 

不安制止反応の例
弛緩反応 (リラクセーションなどでの筋肉の弛緩による反応)

主張反応 (怒りの表出や適切な主張行動で対人関係での不必要な不安を防止する)

摂食反応 (食べることは、副交感神経系の支配下で活発になる)

運動反応 (不安状態と生理学的に対立しない運動反応にも拮抗制止の効果がある) 

解除反応 (過去の外傷体験を話すこと)

受動的注意集中 (自律訓練法の中心概念)



<系統的脱感作法>

ウォルピにより開発された技法で、段階的に拮抗制止を行います。
つまり、ある刺激に対する感受作用を徐々に減少させます。
これは、例えば2階から外を眺めるときに20点の不安、
3階からは40点の不安を感じる高所恐怖で、2階からの不安を0点に下げることは、
3階からの不安を20点に下げる 効果があるという脱感作の原理に基づきます。
具体的には、まずクライエントの訴えによく耳を傾け、
どのような場面で、どの程度の不安を感じるかをまとめた下記のような
不安階層表を作成します。

基本的には、

①訴えを整理し不安項目をいくつか挙げる
②不安を弥く感じるものから順に、不安をー番強く感じる項目の不安の強さをとしたときの不安単位(自覚的な不安の得点)を決める。

③不安項目が少ないことなどから不安単位がきれいにそろわない場合には
カウンセラーがアイデアを出すなどして新しい不安項目を作成しバランスをとる。
という手順で不安階層表を作成します。
そして、不安単位の1番低い項目から順に不安項目の場面をイメージして
拮抗制止法を行っていきます。
拮抗制止法や系統的脱感作法を行った結果、イメージの中での不安が減少・消失すると、
現実場面での不安も減少・消失します。
この効果をさらに高めるためには、現実場面で不安を制止する体験をさせます。
その場合、系統的脱感作法の総仕上げとして
不安単位の高い場面を選んで行うことや、
クライエントヘの宿題としてイメージで不安が起きなくなった段階より
1~2 段階低い不安項目について実生活で試していくよう提案するなどの方法があります。
また、リラクセーションなどを習得することが困難な
子どもの不安や恐怖を除去する際には、アニメのヒーローなど不安制止効果のあるイメージを用います。

この技法は情動心像法と呼ばれます。

 

*「不安階層表の例」を参考にして、下記の訴えの不安階層表を作ってみましょう。
「電車に乗って外出できない。特に急行列車やラッシュ時の混んだ電車は怖くて乗れない。
各駅停車で空いていれば何とか乗れる。車も遠いところとか高速道路だと乗れない。
短時間・短距離なら何とか乗れる。無理をして乗ると発汁や動悸や吐き気がする。
エレベーターも乗れないのでいつもエスカレーターを利用 している。
でもエレベーターは短時間なので乗れるかもしれないと思う」

主張訓練法>

主張訓練法は、1950年代のアメリカで、対人関係が上手くいかないことで悩んでる人や、
自己表現が下手で社会的場面が苦手な人のためのトレーニング方法として開発されました。
そして、 1960 年代からの人種 差別撤廃運動やウーマン・リブ運動などの
人権回復連動を背景に発展し、現在では面接試験での自己PRや
職場での人間関係の向上、人材育成など、さまざまな場面で活用されています。
私たちは毎日さまさまな人と接しています。
その中で自分の権利や意見を主張したり、他人を褒めたり、感情を豊かに表現するなどの
「主張反応」には、対人関係の不安を抑える働きがあることは先に述べました。
逆に、言いたい気持ちを抑えるなどの消極的・非主張的な傾向は、
不安や劣等感、自信のなさ、 「どうせっても分かってもらえない」といったあきらめの気持ち、
「人の気も知らないで」「譲ってあげたのに」といった恨みがましい気持ちにつながります。

これらのストレスは私たちが考えている以上に大きく、
それが溜まると八つ当りなどの形となって現れて
人間関係のトラブルを引き起こしたり、
また、抑うつ・頭痛・対人恐怖などさまざまな症状の原因ともなります。
主張反応には、攻撃的な行動、個人の権利や感情を
社会的に認められた形で表明すること、不当な要求を丁重に拒否すること、
賞賛・感謝.尊敬の念などを表明すること、歓喜や嫌悪による絶叫など
さまざまなパターンがあ りますが、主張訓練法では、対人関係で生じる
敵意・攻撃・不満など対立的な主張を相手に受け入れられる形でしていくための
訓練が主に行われます。
その際には、下記のように分類される対人関係の持ち方のうち、
アサーティブ(主張的)な対人関係の習得が目的となります。
主張訓練法では、クライエントが問題としている対人関係の具体的な場面、
出来事、その時の感情、実際にとった行動、その出来事に対しての態度などを見つめ直し、
具体的にとのように対応するのがアサーティブなのかをー緒に考えます。
そして、アサーティブな行動を観察したり(モデリング)
その役割を演じてみること(ロールプレイ)により、新しいアサーティブな行動を学習 します。

 

*対立的な主張表現の例

「話すのをやめていただけませんか」(芝居・映画・音楽の最中)
「失礼、ここは私が先に来ているのです」
「これからも遅れてくるようなら、あなたとお約束するのをやめます」
「私は待ちたくありません」
「ごめんなさい。それはできません」
「気持ちをしずめていただけませんか」
「ご迷惑でなかったら、私の履き物をとっていただけませんか」

 

*賞賛的な主張表現の例

「きれいなドレス(プローチ、他ですね」
「それは優れた意見だ」
「あなたが好きです」
「あなたの忍耐弥さは立派です」

<古典的条件づけ法>

古典的条件づけを応用した典型的な技法としては、夜尿症に対するアラームシ一ツや
センサーつきパンツによる条件づけがあります。
これは、寝ている間に排尿が起こると、アラームシ一ツのブザーが嗚り、
目が醒めるという過程を繰 り返すことによって、
膀脱圧が高くなっただけで目が醒めるという条件づけを形成していきます。



<トークン ・エコノミー >

オペラント条件づけを応用した技法の代表的なもので、
望ましい行動を積極的に増大させる強化子としてシールや点数カード、金券などの
仮の報酬(トークン) を用います。
二次的報酬であるトークンは一定のルールに従って、
おもちゃなどのー次的報酬 と交換されます。
このトークン ・エコノミーを実施するにあたっては、
目標行動(どんな行動をとったときにトークンが与えられるのか)と、
トークンとー次的報酬の交換のルール(トークンをどれだけ集めると何が得 られるのか)を
明確にする必要があります。

また、オペラント条件づけを応用し、望ましい行動に対して報酬を与えることで、
クライエントの行動変容を促す場合には、以下のような点に注意する必要があります。
望ましい行動を効率的に形成するには、初めのうちは連続して強化することが望まれます。
報酬などによる強化は、望ましい行動が出現した直後に行うことが望まれます。
強化子の選択にあたっては、その受け手(クライエント)にとって強化子が
どのような意味を持つかに配慮することが望まれます。

嫌悪療法>

ある問題となる行動・反応に対して、叱るなどの負の強化子を与えることで、
問題となる行動・反応を制止する技法で、処罰学習法とも言われます。
負の強化子としては、嫌悪反応と結びつくイメージ、電気刺激などの軽いショック、
雑音などの聴覚嫌悪刺激、吐剤などが用いられます。
具体的には、肥満症に対して、デザートを食べようとすると気分が悪くなるというイメージ誘導や、
飲酒の問題がある人に対して、アルコールに対する恐怖症的条件づけをする、
などの方法をとります。
ただし、
罰を与えることにより行動を制止することは、多用すると
行動レパートリーを狭くすることにつながります。
したがってこの技法を利用する際には、何が望ましくない行動かだけでなく、
何が望ましい行動かについても話し合い、
望ましい行動を増大させる技法を併用することが望まれます。

負の練習法>

チックや吃音など、やめたいと望んでいる症状を意図的に集中反復させ、
その後にー定の休憩を与えるという過程を繰 り返すことによって、
反復による疲れ(反応性制止)が学習されて症状が消失します。



情動フラッディング法>¥

主に恐怖症に適用される技法で、恐怖.不安・敵意・攻撃なとの情動を強く感じる場面に
クライエントをさらし、直面させます
最初は恐怖や不安におののいているが、やがで慣れて病的恐怖は軽減されます。
ー般 に系統的脱感作法は弱い情動に、

この情動フラッディング法はより強い情動に適用されます。

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