自律訓練法は、ストレスを緩和させるこころの薬として心身医学に基づく
心療内科等で重要な位置を占めています。
精神科医JHシュルツにより創始された自分で心身の緊張を緩和していくための方法です。
もともとは心身医学的な治療法として開発されましたが、
現在では、単に心身症や神経症の治療法として用いられるだけではなく、
ストレス緩和や健康増進、教育領域で集中カ・持続力の養成、
スポーツや音楽活動などでのあがり防止、創造性の開発などに広く用いられています。

自律訓練法は、催眠と睡眠の神経生理学的な比較研究を出発点としています。
フォークトはその研究の中で、同ー人物に何度も催眠をかけているうちに
その人たちが心身ともに健康になっていくこと、さらに何度も催眠にかけられているうちに
自分ひとりで催眠状態と同じような状態に入ることができるようになることに気づきました。

つまり、いわゆる治療暗示ではなく催眠状態そのものに予防的治療的意義があること、
そして人は訓練により自分で催眠状態になれることを発見したのです。

フォークトはこのこと>を利用して、被験者に何度か催眠をかけた後、それと同じことを自分で家で行ってもらい、疲労回復や病気の予閏法として活用する、「予防的休息法」を開発しました。

シュルツが 1932年に自身の研究をまとめて出版した
『自律訓練法』はこのフ>ォークトの研究を発展させたものです。
シュルツは健康増進に役立つとされる催眠状態の特徴を調べ、
催眠状態の基本的な共通体験として、気持ちの良い感じ、手足の重い感じ、手足の温かい感じ、
の3つを見出し、この状態は筋肉や血管の弛緩と関連しているとしました。
このことから、気持ちが落ち着いていて、両腕両脚が重く、温かくなれば、
それが催眠状態であるとして、催眠による三つの基本的な体験を、
時間もお金もかかる他者催眠を用いずに、自分で体験できるように工夫をしていきます。
そして「気持ちが落ち着いている」「両腕両脚が重たい」「両腕両脚が温かい」などの
暗示として公式化した言菓(言語公式) を段階的に自分の頭の中で繰り返すことによって、
その言語公式が意味している状態を自分で作り出していく
自律訓練法の標準練習が完成しました。W. ルーテは、シュルツのもとで自律訓練法の指導を受けた後、
モントリオールで自律訓練法の研究を精力的に進め、
自律性中和法などの特殊練習を生み出し、自律訓練法を広めました。
また、ルーテは自律訓練法の自己暗示としての側面よりも、
注意集中(受動的注意集中)としての側面を強調しました。
通常の意味での注意集中は、ある目的への意図的な努力を指し、緊張を伴うと考えられます。
これに対し、自律訓練法で大切とされる注意集中は「受動的注意集中」と言われ、
その対象や目的に対して、さりげない注意を向け、
あるがままなるがままにその状態を受け入れることを指します。
このように、自律訓練法は言語公式を繰り返し唱えながら、
その言語公式の内容と、内容に関連した体の部位に受動的に注意を集中することによって、
催眠状態のエッセンスである安静感と四肢の重温感を科学的に再構成していきます。
この自律訓練法の>ー般的な効果は、以下のようにまとめられます。

  1. 蓄積された疲労が回復する
  2. イライラせず、穏やかになる
  3. 自己統制力が増し、衝動的行動が少なくなる
  4. 仕事や勉強の能率が上がる
  5. 体の痛みや精神的な苦痛が緩和される
  6. 内省力がつき、自己向上性が増す

自律訓練法のこれらの効果は、基本的には自律神経系が副交感神経優位な状態になることによる
ものとされていますが、より正確には大脳辺縁系や視床下部の機能が調整され、
休息的でエネルギー蓄積的な状態へと脳が変換 されるためと考えられています。
脳がこのような状態になることにより、いわゆる自然治癒力が高まり、全般的な健康増進が得られるのです。

自律訓練法の種類



自律訓練法には、基本練習としての標準練習と、上級練習としての特殊練習とがあります。

1. 標準練習

標準練習は、背景公式と6段階の言語公式(第1公式~第6公式)からなる、

自律訓練法の体系の中で最も基本となっている練習です。

背景公式(安静諌習)          気持が落ち着いている

第1公式(四肢重感練習 ・両脚重い

第2式(四肢感練習 ・両脚温かい

第3公式(心臓調整練習臓が静かに規則しくいる

第4公式(呼吸調整練習「自然に(楽に)呼吸(いき)をしている」

第5公式(腹部温感練習「お腹が温かい」

第6公式(額部涼感練習「額が心地よく涼しい」

2. 特殊練習

標準練習によってリラックスして被暗示性が九進した状態を利用して、

病的な変化を起こしていたり過敏状態にある体の特定の部位に対して、

古典的な他者催眠による直接暗示のように直接働きかける特殊練習です。

特定器官公式が体に直接働きかけるのに対して、

心に直接働きかけるのが意志訓練公式です。

特定器官公式と意志訓練公式とは自律性修正法とも呼ばれます。

特殊練習には、上記以外にも標準練習で得られる視覚イメージ

やすい状態を段階的に発展させ無意識との対話を目指す「黙想練習」や、

その黙想練習の前に基本的に行われる「時間感覚練習」(「いったん眠った後、何時何分頃に目を覚まし、再び眠りに就く」という公式を唱え、無意識的な精神活動を賦活する)、

大脳の右半球の機能や両半球の機能の統合を促進させることを目的にした「空間感覚練習」

(耳や肘のような左右対称な身体部位に注意を向け、右耳と左耳の距離、空間を感じ取る

第1空間感覚練習と、両腕両脚がー定の空間を有 している質量感を感じ取る

第2空間感覚錬習がある)、標準練習で自然に発生する呼ばれる体の反応や感情、

イメー進 させ ることにより心身の調整を図る「自律性中和法」などの特殊練習が

開発されています。ここでは、標準練習と特定器官公式、

意志訓練公式について以下に取りあげていきます。

標準練習を習得するためには、比較的長い練習期間を必要とするので、

まず練習を続ける意欲を持つことが大切です。

標準練習は体が覚えるものですから、

日の練習が欠かせません。できればー日に 24行うと良いとされています。

ー回の練習時間はシュル ツると1090 秒 と言われていますが、

日本ではー般に3~5分間程度とされています。

実際に標準練習を行っていくにあたって、

特に練習の初期にはリラックスしやすいように環境を整えることが大切です。

外界からの刺激ができるだけ少ない落ち着ける場所で、

ネクタイやベルトなどを緩めて体の圧迫感を取り除き、

空腹や尿意など体の内部からの刺激も錬習前にできるだけ取り除きます。

どの姿勢で練習するかは、練習者が自由に選択すれば良いとされていますが、

基本的には体全体の筋肉が弛緩しやすく、自然で安定した姿勢であることが大切です。

練習の準備が整ったら、目を閉じて、標準練習の公式を心の中で繰り返していきます。

原則的には、第公式得 しから第 二公式へ という

つずつ公式を増やしながら練習を進めます。

標準練習は大体2~3ヶ月で習得できるとされています。

標準練習を行うと、催眠状態のような特殊な心と体の状態になります。

これを自律状態と言います。

この状態のときに目を開けたり、立ち上がったりすると、

めまい、脱力感、頭の重い感じなどが生じることがあるので、

このような練習後の不快な状態を避けるために、

練習の終了時には「消去動作」と呼ばれる手続きを行います。

具体的には両手の開閉運動や両肘の屈伸運動を数回行い、

続いて背伸びをしながら深呼吸をして、目を開けます。

標準練習を始めたばかりで自律状態になれない場合でも、

練習のー環 とし行 うよ うにしま しょう。

標準練習の最終的な目標は

「いつでも、どこでも、練習ができる」ことです。

練習に習熟してきたら、日常生活のさまざまな刺激のある環境の中で

練習していくようにします。

背景公式(安静練習)

背景公式は標準練習のベ一スとなる公式で、

練習のはじめに用いるのはもちろんのこと、各公式の間にも随時挿入していきます。

具体的には、心の中で「気持ちが落ち着いている」という公式をゆっくりと繰り返していくのですが、

このときに無理に気持ちを落ち着かせようとするのではなく、

環境を整えたり標準練習の準備をしたことですでに

気持ちが落ち着いていることを確認する作業と考えたほうが良いでしょう。

受容的な態度、受動的集中が自律訓練法の

気持ちを落ち着かせようとする努力を捨てて、

さりげない態度 で公式をゆっくりと繰り返します。

このように公式を繰り返す際には、公式の内容と関連の深いイメージを浮かべると効果的です。

第1公式(四肢重感練習)    ・両脚重い

四肢重感練習の重感とは、荷物など重い物を持ったときの感覚ではなく、

力が抜けてリラックスしているときに感じる重たい感じを意味します。

ですから、人によっては 重い感 」 とい よりも じ」 下へ引っ張 らる感

「力の抜けた感じ」 ダランとし感 じ」 が何か物体になったような感 じ」

報告する人もいます。

いずれにしろ、この練習では筋肉が弛緩した状態をつかむことが目的になります。

この練習は、一般的には利き腕から始めます。

例 右手の場合

  気持ち落ち着いている….気持ちが落ち着いている….

(右腕に軽く注意を向けながら)

右腕が重い······ 右腕が重い······気持ちが落ち着いている….右腕が重い······重い······

気持ちが落ち着いている….

このように公式を唱え、

練習の終了時に消去動作を行います。

利き腕の練習で重感が出るようになったら、

反対の腕にも重感を広げ、両腕の重感を習得したら四肢全部の重感の練習に進みます。

第2公式(四肢温感練習)    ・両脚温かい

  1. 四肢重感練習によって手足の筋肉が弛緩すると、血流の増大、皮膚温の上昇といった
  2. 生理的変化が起きやすくなります。
  3. 四肢温感練習は、この変化を確認し、強めていく練習です。
  4. この練習は、四肢重感練習と同様に利き腕から順に進めます。
  5. また、標準練習は基本的には第1公式から順に進めていくので、練習の順序
  6. 背景四肢感練習、背景公式、四肢温感練習背景公式、消去動となります。

背景公式および四肢の重温感練習は、全ての自律訓錬法の基本になるものですので、

ここまでの練習をマスターするだけでもかな りの効果がられます。

また、四肢の重温感練習を確実に習得すれば、

あとの標準練習の公式を省略して他の自律訓練法の諸技法へ進むこともできます。

第3公式(心臓調整練習臓が静かに規則しくいる

四肢の重温感諌習が十分にできるようになると、一般に脈拍数は減少し、

心臓の動きも規則正しくなります。

したがつて、心臓調整錬習と言っても、この段階で初めて心臓を調整するのではなく、

四肢の重温感練習で得られている心臓の状態を確認する、

または、すでに静かに規則正しくなっている心臓の状態に気づく 練習と言えます。

心臓の鼓動が感じにくい場合、はじめのうちは仰けの姿勢で右手を左胸に乗せて

練習すると良いでしょう。

なお、心臓疾患もしくは、自分の心臓に強い不安や懸念を持っている人は、

この練習を避けたほうが良いとされています。

第4公式(呼吸調整練習「自然に(楽に)呼吸(いき)をしている」

呼吸調整練習も心臓調整錬習と同様に、この段階で初めて呼吸を調整するのではなく、

四肢の重温感練習によって得られている呼吸の状態に気づく練習です。

呼吸は自分の意志でもコントロールできるので、

しするとかえって不自になることがあります。

自然な呼吸にまかせて公式を繰り返すようにしましょう。

なお、呼吸器系の疾患や機能障害(気管支喘息や過換気症候群など)を持つ人は、

この諌習を避けたほうが良いとされています。

第5公式(腹部温感練習「お腹が温かい」

この練習は、消化器をはじめとする内臓機能の調整をねらったものです。

お腹の温かい感じが上手くつかめない人は、右手を軽くお腹に当てて、

右手の温かい感じがお腹へ伝わっていくイメージ浮かべながら練習すると良いで しょう。

なお、消化器系の疾患(胃・十二指腸潰瘍、激しい痛みを伴う胃炎など)、

糖尿病の人、妊娠中(特に8ヶ月以上)の人は、この諌習を避けたほうが良いとされています。

第6公式(額部涼感練習「額が心地よく涼しい」

この練習は四肢や腹部の温感練習に合わせて、

いわゆる「頭寒足熱」の状態を作るものです。

そして、標準練習をすっきりとまとめ上げる効果があります。

なお、頭痛や偏頭痛、てんかん、頭部外傷後遺症、脳障害などのある人は、

この練習を避けたほうが良いとされています。

以上の公式をまとめて練習する場合は、次のように進めます。

気持ちが落ち着いてい……両腕・両脚が重たい……

気持ちが落ち着いている……両腕・両脚が温かい……

気持ちが落ち着いている……心臓が静かに規則正し打っている……

気持ちが落ち着いている……自然に呼吸(いき)をしている……

気持ちが落ち着いている……お腹が温かい……

気持ちが落ち着いている……額が心地よく涼しい……

(それぞれの公式を2~3回繰り返し、最後に消去動作をします)

特定器官公式



特定器官公式は、病的な変化を起こしていたり

過敏な状態にある特定の身体部位に直接働きかけて、

正常な生理的機能を取り戻すための言語公式です。

ですから、特定器官公式を用いるにあたっては、

症状の生理的な仕組みについての知識が必要とされます。

特定器官公式では主に、重感(おもーー)、温感あたーたか )、涼感(用い。標準練習に続けて、特定の器官にぼんやりと注意を向け、

症状に応じた公式を繰り返します。

重温感を利用した特定器官公式

重温感は、特定器官公式として最も幅広く利用されています。

しかし、重温感は血流の増加をもたらすものですから、

心臓と頭部には直接用いてはなりません。

①赤面、顔面の緊張

「足が重い」「足が温かい」「後首すじと肩が温かい」「あごが重い」

②書痙

「肩が重い」

③しもやけ

「指(耳、鼻、つま先)が温かい」

④気管支喘息

「胸が温かい」

⑤痔疾

「肛門が温かい」「骨盤が温かい」

⑥消化不良及び便秘

「下腹部が温かい」

⑦婦人科疾患

「骨盤が温かい」「下腹部が温かい」「子宮(卵巣)が温かい」

  1. 涼感を利用した特定器官公式

涼感は、過敏状態を抑えること、特に痛みやかゆ左の緩和に効果があります。

①神経性鼻炎、気管支喘息

「鼻が涼しい」

②気管支喘息

「咽喉(のど)が涼しい」「眼が涼しい」

④痔疾

「肛門が涼しい」

⑤痛み、痒み

「(特定身体部位)が涼しい」「(特定身体部位)の皮膚がやわらかで涼しい」

  1. その他の特定器官公式

①高血圧

「鼓動(脈拍)が穏やかで楽だ」

②頭痛

「頭がさわやかで軽い」

③狭心症

「心臓が穏やかで楽に打っている」

④咳

「のどが涼しく胸が温かい」

⑤緊張反応

「体全体がくつろいで自由になっている」

⑥睡眠障害

「温かくて眠くなる」

意志訓練公式



特定器官公式が体の生理的な変化をねらったものであるのに対し、

意志訓練公式は心に働きかけることが中心で、

病気、症状、間題などを克服していこうという練習者自身の治療態度や努力を、

自律状態で言語公式を唱えることによって強めていこうとするものです。

ですから、症状を把握ずるのはもちろんのこと、

その症状の背晟にある、性格、心理的なメカニズム、

心身相関などを把握した上で公式を組み立てます。

この意志訓練公式は、言葉の使い方によって以下のように

分類することができます。

中和公式

「……は何でもな  「……は気にならない」

 

この公式は、現実的な心身の苦痛があり、

その状態に過度にとらわれているために自覚症状を強めている場合に用いられます。

具体的には、吃音、書痙、過敏性腸症候群など、

予期不安やとらわれの強い間題に有効です。

直接公式

嘩下障害「のどが広がっている」「何でもなく飲み込める」

慢性の痛み「痛みは何でもない」「痛みは私を乱さない」

上記の例のように、症状に直接働きかける公式を直接公式と言います。

公式の中に症状や間題を直接表す言葉があることでかえってとらわれが強まる場合は、

「私は何も気にならない」といった間接公式を用います。

 

強化公式

「もっといっそ……がで」「自動……れる

 

支持公式

「私は……(良状態なのだ

 

この公式は、必要とされる良い習慣が十分身についていない状態に対して、

ある状況下で適切な反応が起きるように神経系の働きを強めるために用いられます。

具体的には、夜尿症、吃音、排尿困難、演奏不安、会話が上手くできない

などのケースに適用されます。

夜尿症「おしっこをしたくなったら必ず眼を覚ましてトイレに行く」

排尿困難「人がいても気にならない。膀肌が自然に空になる」

演奏不安「手がひとりでに動く」

 

節約公式

「私……しなれる

 

反対公式

「他人は……であろうと、自分は……でない」

強化公式が良い習慣を強めていくものであるのに対して、

節約公式は悪い習慣を弱めていくための公式です。

具体的には、アルコール依存、鎮静剤や睡眠薬どの常用、

喫煙癖、糖尿病の食餌コントロール、高血圧の塩分摂取習慣の改善などに応用されます。

アルコール依存「いつ「でもどこ酒類は1滴も飲まないいられる

「少し飲むと気持ちが良くなって満足する」

「人が飲んでいても平気で自分は飲まないでいられる」

逆説公式

「もっと……症状を起こしてみせ よ

実存公式

「私……(症状……なのだ」

 

この公式は、症状や間題が生起することを恐れたり、気にしすぎる状態に対して、

その症状を持つ自分をそのまま受容することを促す公式です。

具体的には書痙、吃音、赤面などのいわゆる神経症反応に有効です。

書痙「自分は字が下手なのだ」「人前でできるだけ下手に書こう」

吃音「不完全にしゃべろう」「人前でもっとどもってみせよう」 

赤面「人前でもっと赤くなろう」「私は人前で赤くなるのだ」

意志訓練公式は、特定器官公式と同様に標準練習の終了前に

約30~60秒反復暗唱する形で実施していきます。

期間は少なくともーつの公式を約ーヶ月行い、

その効果が見られるようになってから必要とされる意志訓練公式を追加してい きます。


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