ロジャース以前のカウンセリングあるいは心理療法は、

専門家がクライエントに指示や助言をするという形が中心でした。

しかしロジャースは、クライエントの中にこそ問題を解決していく力があることを見いだし、

専門家がクライエントに指示や助言を与えるだけでは

その問題を解決していくには不十分であると考えるようになりました。

クライエントの問題を解決していく主体は、専門家ではなくクライエント自身であるということです。

そして、クライエントが主体性を持って自分の道を探索していくために、

カウンセラーがクライエ ントに対して「非指示的」に接するという方法を広め、

クライエントの自己成長力に対する信頼が基本理念であることを示す「来談者中心療法」という

名称を用いるようになったのです。

カウンセリングは、何らかの問題を持ち援助を必要としているクライエントと、

援助する者としての専門的訓練を受けたカウンセラーとが、

主として言語的手段を用いる面接での心理的影響によって、

問題解決(行動や態度の変容)をしてい<ものとされています。

これは、私たちが日常の中で誰かに相談にのってもらう場面に

形式としては似ているかもしれませんが、しかしその構造と内容は大きく違っています。

 

カウンセリングの構造

カウンセリングは構造化されており、

 

「1回1時間、週に1度、このカウンセリングルームでカウンセリングをする。料金は 1 時間10,000 円」

 

というように、

面接の日時・場所・料金が決められます。

そしてクライエントとカウンセラーは、重大な理由がない限り、

この決められた日時・場所以外で会うことはありません。

このように決めることは、カウンセリングで話し合いをする二人が、

それぞれクライエント(相談をする人)あるいはカウンセラー(相談を受ける人)という

自分の立場・役割に専念することを助けます。

先に述べたように、カウンセリングにおいて問題を解決する主体はクライエント本人です。

カウンセラ ーは、クライエントが自分の抱えている問題に直面し、

解決方法を見いだしていくプロセスに共に関わり、援助していく存在です。

問題解決の責任が、相談をされた人にあるのではなく、問題を持つ人にあると言えば、

多くの人が当然のことと考えるでしょう。しかし日常の相談では、

相談を受けた人が必要以上に問題解決の責任をとろうとする、

あるいは相談を持ちかけた人が相談を受けてくれた人に問題解決の責任を押しつけるなど、

責任や役割の混乱が見受けられます。

混乱を防ぐためにもカウンセリングの構造はとても大切なものなので、

このようなカウンセリングの構造のことを「治療構造」と言います。

その中で、クライエントとカウンセラーの役割を「内的構造」と言い、

この内的構造を守りやすくするために設定される、面接の頻度、時間、料金など、

カウンセリングを行う上でのルー ルを 「外的構造」と言います。

更に、 どのような面接室か  (その広さや机や椅子など備品の配置など)、

面接室でのカウンセラーとクライエン トの位置関係、

カウンセラーの存在  (性別、年齢、服装 、雰囲気など)なども外的構造に含まれます。

一般にカウンセリングを行う場所は、広すぎず狭すぎない適度な大きさ(4  6畳位)の部屋で、

室温は暑くも寒くもない適度なi品度、照明はあまり暗くなく落ち着ける明るさ、

そして室外の音が遮断されていることが望まれます。

クライエントとカウンセラーの位置どりには、

対面法や90度法などがありますが、

対面法で向かい合うよりは90度、あるいは横並びに近い位置関係を作る方が、

クライエントとカウンセラーとの適切な距離を保ちやすいでしょう。

 

カウンセラーの態度

クライエントが自分の抱えている問題に直面し、解決方法を見いだしていくために、

カウンセリングでは、クライエントがどのような話題をどのように話しても、

カウンセラーの意見を押しつけられたり批判されたりしない雰囲気が大切になります。

そのためにカウンセラーは、クライエントの語ることを真剣に傾聴し、知的にだけではなく、

感情的にも理解・共感し、フィードバックしていきます。

 

ふだんの日常での対話は、カウンセリングでの対話と比較して、

  1. 話のスピー ドが早いこと
  2. 話題の転換が早いこと
  3. 無難な話題が選iゴれること
  4. 出来事については語られるが、それに伴う感情については抑制されることが多いこと
  5. ー方的な会話になりやすく、相互性が欠如していること
  6. 情報の伝達や相互理解ではなく、仲間感情の形成を目的とする(感化的コミュニケー ション)

上記のような特徴があります。

 

カウンセリングにおいては、このようなふだんの日常的なコミュニケーションとは異なり、

  1. ゆっくりと、落ち着いて対話をし、
  2. ーつの話題を じっくりと深化させていき、
  3. 本質的な問題が、
  4. 感情を解放しながら語られ、
  5. 対話に相互性があり、
  6. 知的にも感情的にも共感的な真の理解が進展していきます。

成果のあるカウンセリングを行うために、ロジャースはクライエントの成長を促進する

カウンセラーとしての資質3つを下記に挙げています。

 

カウンセラーとしての資質①

カウンセラーの 「自己一致」あるいは  「純粋性」と言われるものです。

これは、カウンセラーがありのままの自分でいること、自然であることを指します。

自分が 「体験していること」や 「感じていること」と、それについて 「意識していること」と、

言語や非言語で 「表現していること」が一 致 している状態です。

この 「自己ー致」「純粋性」のためには、まず 自分が体験 していることを感じ、

それが何であるかを知り、それをそのまま表現できる能力が必要となります。

このようなカウンセラーに接するクライエントは、

自分が見たそのままがカウンセラーそのものとなるので、

「このカウンセラーは表面ではこう言っているけど、もしかしたら本当ば …」などと

疑うことはなくなっていきます。

 

カウンセラーとしての資質②

クライエントをそのまま受け入れる( 「受容」する) ことで、

「無条件の肯定的関心」とも言われます。 「そのまま受け入れる」ことは、

単にクライエントの言うことに賛成することではありません。

例えば、ある子供が 「僕のお母さんは、僕のことをちっともかまつてくれない」と言ったとします。

これに対し、 「その通 りだよね。君のお母 さんはちっとも君をかまつてくれないよね」 と

賛成することはそのまま受け入れることにはなりません。そのまま受け入れるとは、 

「君が、お母さんは自分のことをちっともかまつてくれないと感 じているということを、

私はその通りに聴きましたよ」ということを相手に伝えることを指します。

簡単な相槌でこのことが伝わることもありますし、

言葉を使って表現することによって明確に伝わることも考えられます。

そのまま受け入れることにより、クライエントは 「自分はこのままの状態でいてもいいんだ」と感 じ、

安心感を持った状態で、おどおどしたり 「批判されるかもしれない」と恐れたり気遣うことなく、

自由に話をすることができるようになっていきます。

 

カウンセラーとしての資質③

「共感的理解」と言われるもので、ロジャースによれば、

「クライ工ントが体験している気持ちや個人的な意味を、カウンセラーがより正確に分かり、

その分かったことをクライエントに伝えること」とされています。

カウンセラーはクライエントの私的な世界・内的な世界で完全にくつろぎ、

そのクライエントの世界を 〝あたかも〟 自分自身のものであるかのように感じ取り、

その内的な意味をクライエント以上に理解します。そしてその感じ取った内的な意味を、

クライエントに対して、まさに私の経験していることはそれだ」と感じ取られるように伝えます。

 

自己開示と隠蔽

私たちは、自分の心の動き(思考や感情)を、さまざまな言動を通して表現しますが、

そのまま素直に表現することは稀でしょう。特に怒りや悲しみといったネガテイヴな感情を

表現することには強い抑制が働きます。

このような場合、自分の気持ちをありのままに伝えたいと思いながらも、

それ以上にありのままを伝えることを恐れているのです。

「ありのままを言ったら相手から拒否されるのではないか、馬鹿にされるのではないか」

 「自分はこんなことで動揺する自分を認めたくない」

「自分の気持ちを表現することで、相手にいやな思いをさせたくない」

といったものがそれです。

自分の気持ちや考えを隠蔽することは、

自分を相手に理解してもらうことを妨げ、

誤解を招き、対人関係を混乱させるばかりではなく、

自分自身が自分のことを理解し、

受容することをも妨げることになります。

カウンセリングにおいてカウンセラーは、

自由であたたかい受容的な雰囲気でクライエントと接します。

カウンセラーとしての3つの資質はそのためのものと言えるでしょう。

このようなカウンセラーの態度に支えられて、クライエントはカウンセラーと自分自身に対して

自己を開示し、自分の経験していることと自分で気づいていること(自己概念)とが

ー致していきます。そして、心理的不適応の状態から、心理的適応の状態へと進んでいきます。

具体的には、みせかけの自分、こうあるべき目分、他者に気に入られなければ

不安になる自分から、自分らしく行動し得る自分、他者を受容し自己を信頓し得る自分、

複雑な感情や多様な意味をありのままに受け入れることのできる自分へ変化するのです。

人間の基本的な潜在能力、自己実現の傾向を解放する人間関係が

カウンセリングにおける人間関係なのです。

 

カウンセリングの流れ

ここではカウンセリングの流れを

  1.  導入段階
  2.  問題の明確化段階
  3.  方向づけ段階

上記3つの段階に分けて説明していきます。

 

1.導入段階

カウンセリングは、クライエントとカウンセラーが出会うことから始ま ります。

クライエントとカウンセラーとの関係は、ー般社会での常識的な人と人との関係を基盤にして、

その上に築かれるものですので、一般社会での常識的な礼儀作法が基本になります。

初めての出会いの際の礼儀作法は、二人が平等な間柄であることの相互確認と考えると、

より自然に振舞えるでしょう。その上で、この出会いは何らかの困った状況にあるクライエントが

専門家に相談しに来る特殊な出会いであること、そしてこの出会いの目的は

クライエントのより良い未来を目指してのものであるということを認識する必要があります。

具体的には、英語圏のお店で店員が使う ” What can I do for you?”  の直訳 

 「あなたのために私にできることは何でしょうか?」という姿勢が、

クライエントと初めて出会うカウンセラーの姿勢 となります。

 

2.問題の明確化段階

間題の明確化と言うと、クライエントの間題、困っていること、

こころの病理などに焦点があたりがちですが、先に述べましたようにカウンセリングは

クライエントのより良い未来を目指して行われるものですので、クライエントがどうしたいのか、

どうなりたいのかという 「目的」に焦点をあてることが大切になります。

一般に主訴と言われるものは、カウンセリングの場では明確でないことが多いので、

最初はクライエントの来所の理由や意識されているニーズを把握することかとら始めます。

また、クライエントのニーズには、意識されている部分と意識されていない部分とがあります。

意識されているニーズが不明確で、「どうしたいのか分からない」というクライエントの場合、

意識されたニーズを確立していく作業を当面の目的としてカウンセリングを進めていくことも

稀ではありません。そして、対話を進めるにしたがい、クライエントの抱える問題や

目的が浮かび上がってきます。

 

3. 方向づけ段階

クライエントが何で困っていて(間題)、どのようになりたいのか(目的)が明確になった次の段階が

方向づけ段階です。問題を抱えている現状から、目的とする状態に変わっていくために、

どのようにしていくか、その手段を検討していきます。

その際にも、クライエントが自分で解決方法を見出し、実行していくことを決断するために、

カウンセラーは援助をするのだという姿勢が大切になります。

そのような姿勢で行うカウンセラーの援助のーつに、催眠療法や行動療法など

効果的と考えられる心理療法を提案するという専門家としてのアドバイスがあります。

 

カウンセリングの技法

カウンセリングでは、クライエントの自己実現傾向を解放し促進させるために、

先に述べたカウンセラーの態度を重視します。以下に述べる技法は、

そのカウンセラーの態度を具体的に表現する方法のー部です。

これらの技法は、カウンセリングを単なる技術として捉えて用いるのでなく、

これまでに述べてきた考え方や基本的な態度を踏まえた上で用いる必要があります。

感情の受容

クライエントの態度や表現すること(感情や話の内容)が否定的なものであれ肯定的なものであれ、

それを受容し、その場でのクライエントの感情に焦点を合わせながら

「うん」「はい」「そうですか」「なるほど」などの応答をします。

これは「簡単な受容」「最小限の励まし」とも言われます。

その際には、うなずき方や音としての声の雰囲気など、

非言語的な側面への配慮が大切になります。

また、最も価値ある「最小限の励まし」が沈黙(クライエントの話を待つこと)であることもあります。

《感情の反射》

クライエントが表現したことに付随する感情を、カウンセラーが映 し出 して伝えます。

クライエントが表現する言語的あるいは非言語的な反応にはさまざまな感情が含まれます。

カウンセラーは敏感にその感 情を感 じ取 り、クライエントの感情の文脈を共に体験しつつ

クライエントに映し返して、その感情に言葉を与えていきます。

クライエントが使った言葉をそのまま「繰り返す」ことや、

クライエントの非言語的な反応を観察して「あなたは~と感じているように受け取れますが…」

といった形で指摘していきます。特に混乱していたり、矛盾している感情に注目し、

クライエントがその感情を自覚していくための援助していきます。

 内容の繰り返し

クライエントが表現した内容を、なるべく忠実な形で繰り返します。

クライエント:私は登校する時間になると、いつも気持ちが悪くなり、おなかの具合が悪くなって…

家の人にいろいろ言われるんですけど、どうしようもないんです。

カウンセラ ー:登校する時間になると体の調子が悪 くなってきて、家の人にいろいろ言われるけど、どうしようもないんですね。

感情の明瞭化

クライエントは、自分で明確に意識化して感情を表明することもあれば、

自分自身で何が何だかよく分からず、漠然とした形で話題や感情を表現する場合があります。

後者のような場合に、カウンセラ ー はクライ エン トの感情に近いと感 じられることを明らかにして

伝えていきます。

感情の明瞭化と似た技法に

「要約」

「言いかえ」

があります。

カウンセラ ー:あなたには、~ したいとい う気持 ちもあるけど、

0 0 したいという気持ちもあって、

それが入り混じっているように聞こえますが。

 

クライエントの話題や感情についてよくわからないことがあるとき、

理解を深めるために質問をします。質問は大きく二つに分けられます。

 

  1. 閉ざされた質

    カウンセラーの問いに対して、クライエントが 「はい」か 「いいえ」で答えられるもの。

    カウンセラー:あなたには、お子 さんがい らっ しゃいますか ? 

    クライエント:はい。二人います。

  2. 開かれた質問 

    「~ とはどんなことですか ?」 「~ についてもう少 し詳しく教えてください」など、

   「はい」や「いいえ」では答えにくいクラィエントからより多くの情報を得ることができる質

 

カウンセリングの具体例

クライエント : 先生はこの方面のこと…性的な間題についてよくご存知だと思いますが、

私は性生活がかなり悪い状況だということに気づきはじめました。

本当に辛いということが分かってきて… とても辛い。

…私は自分の中のその辛さに対決することができませんでした。

私が多分感じていることは 「自分をごまかしてきた」 ということです。

そして意識的には 「気にしていない」って隠してきたのです。

でも、自分でも気づいて、驚いているのですが、それは何と言ったらいいのか、 

受身的なものなのですが、同時に殺人しかねないほど激しいんです。

カウンセラ ー : つまり、こんな感じがあるんですね。  

 「私は本当はごまかしている。それを隠して気にしないふりをしている。

しかし、心の奥の潜在的なものではあるけど、今確かに辛さを感じていて、

それはとても強いんです」と。 《感情の反射》

クライエント : それはとても強いんです。私は…私はそれに気づきました。

それは恐ろしいほどに強いんです。

カウンセラ ー: まるで支配的な力のような。 《言いかえ》

クライエント: それを意識することはたまにしかありません。ほとんどありませんね…

そうですね、言葉で説明するとすれば、殺してやりたいほどの激しいものがあるということです。

でも、暴力を伴うものではなくて、それは…仕返しをしたいというような感じ…

もちろん仕返しをする気はないのです。

でも、そうしたいのですが …。

本当はそうしたいんです。感情の明瞭化

 

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