交流分析(TA)は、1950年中頃にアメリカの精神科医エリックバーンが提唱した、

人間の行動に関する一つの理論体系であり、それに基づいて行われる心理療法です。

ここで言う交流とは表面的な言葉のやりとりだけではなく、

それらの背景にある心理的意味合いや意図といった

目に見えないやりとりも含んでいます。

交流分析では心のしくみや働き、やりとりを記号や図式を使って明瞭にわかりやすく表現することが

できるため、交流分析のアプロ ー チは医療の分野だけでなく、教育や産業の分野でも

自己啓発や人間関係改善の方策として広く活用されています。

この交流分析の目的は次のようにまとめられます。

自分を知る(気づき)

私たちは、周りの出来事や自分の感情を、

世の中の価値観に合わせて解釈したり、

自分の都合の良いように受け止めています。

ものごとを純粋に受け止め、感じ、今ここの自分に

気づくためには、まず、自分を知ることが大切です。

交流分析では、ものごとの感じ方や考え方、

振舞いを分析していくことによって、自分の心理状

態や対人コミュニケー シ ョンのパター ンについて

理解を深めていきます。

自律的な生き方を実現する

交流分析でよく言われる言葉に「他人と過去は変えられない」というものがあります。

人生において過去を変えられないのは自明のことですが、これと同じくらい他者を変えることは

難しいということです。人間関係において相手が変わらないとすれば、

自分の方が変わってその関係に変化をもたらすことが必要となります。

親密な人間関係を築く



人は自分の感情・思考・行動を見直し理解する ことによって、

次第に自分が持っている歪んだコミュニケーションパタ一ンに気づくようになります。

そしてそのパタ一ンをより率直なものに変えていくことで、調和的で親密な関係を

築くことができるようになります。

交流分析は相手を変えることを学ぶものではありません。

 「人は誰もがかけがえのない存在である」 「人は誰でも考える能力があり、

自分のことを自分で決める能力がある」という基本前提のもとに、

自分の責任において自分の生き方、他者との関わり方をより良いものへと

変えていくためのものです。

この交流分析は、以下に示す4つの基礎理論と三つの理論背景によって構成されています。

 

4つの基礎理論

  1. 構造分析:人の心のしくみやあり様を分析し、各人のパーソナリテイの特徴を明らかにします。
  2. 交流パタ一ン分析:二者間の交流パタ一ンを分析し、コミュニケーシ ョンの実際を探 ります。
  3. ゲーム分析:交流分析では、幼少期に親や身近な人たちとの関係の中で培ったトラブルのパターンを 「ゲーム」と呼びます。ゲーム分析では、自分の持つゲームを分析 し、無意識に何度となく繰り返すゲー ムからの脱却を目指 します。
  4. 脚本位折:交流分析では、人生を1つの ドラマとして とらえ、人はその ドラマの脚本を人生早期に作ると考えます。そして、この脚本に基づいて人は人生の重要な場面で行動を決断すると考えます。脚本分析では、この脚本を分析し、それがネガテイプなものである場合には、より良い脚本に書き換えることを目指します。

3つの理論背景



  1. ストローク

    人と人とのふれあいのことを交流分析では「ストローク」と言います。人はストローク無しでは生きられないものであ り、このストロークの種類には、プラスのストロークとマイナスのストローク、無条件のストロークと条件付のストロークな どがあります。

  2. 時間の構造化

    ストロークを獲得するための具体的手段 として、1日の時間をどのように使っているかを「時間の構造化」と言います。時間の構造化には6つあります

  3. 基本的構え

  4. 人が自分自身と他人について、どのように感じ、どのように結論を下しているかということを「基本的構え」と呼びます。

構造分析



交流分析では、私たちの心の状態を1. 親の心(P)、2. 大人の心(A)、3. 子供の心(C)の3つに分け、自分の心がどういう状態にあるかを知ることを基本としています。この3つの心の状態を「自我状態」と言い、この自我状態は日常生活の中で、時と状況に応じて変化します。何かが起きたとき、この自我状態のうちでも強く反応する部分があり、その反応はその人特有の感情と思考と行動のパターンになっているのです。例えば、待ち合わせをしていた友達が、連絡なしに 15 分遅れて急いで来た とします。そのときに、どのような反応をするでしょうか。

「約束を守れないなんて、全く無責任だ。遅れるなら事前に連絡すべきだ」

「ずいぶん急いで来たけど、何か困ったことに巻き込まれたのでなければいいけど…」

「なぜ遅れたのだろうか。今までこの人は遅れてきたことがあったろうか」

「あら、嬉しい来てくれてよかった!」 

 「私を嫌って来ないんじゃないかと思って心配したけど、来てくれたから・・・いいや」

交流分析では、3つの自我状態をその働きから更に以下のように5つに分けて分析していきます。

  1. 親の心  (Parent: P)

    その人が小さい頃、父母や保護者的役割を持つ人たちが行った言動が、心の中にメッセージとなって取り込まれたものです。父母などがとったのと同じ言動をしてその役割を演じているとき、その人は親の自我状態にあると言います。Pは下記の二つに分けられます。

    1. 批判的な親 (Critical Parent : CP) 

      理想を追求し責任感も強く、真面目で一 生懸命 に努力する厳 しい父親的部分です。これが高いと批判力も強くなり、懲罰的で創造性を抑えてしまいますが、社会秩序やルールを守るためには 大切なものです。

    2. 養育的な親 (Nurturing Parent : NP) 

      思いやりが強く面倒見の良い、保護的で優しい母親的な部分です。寛容で愛情深く、相手に幸幅感や満足感を与えます。これが強すぎると過保護やお節介になりやすくなります。

  2. 大人の心 (Adult : A)

     冷静な事実中心主義です。現実を客観視するためにあらゆる角度から情報を収集し、論理的検討を重ねて決断する大人の心でデータ処理のコンピュータのような働きをする部分です。これが高すぎると打算的で冷たぐ情緒に乏しい、人間味に欠けた人になるおそれがあります。

  3. 子供の心(Child : C) 

    その人が子供時代に行動したり考えたり感じたりしたのと同じような状態にあるときを子供の自我状態と言います。Cは下記の二つに分けられます。

    1. 自由な子供(Free Child : FC) 

      親の影響を全く受けていない生まれたままの自然な状態で、明るく自由奔放な部分です。直感的で快感を求めて闊達に振舞う面があり、創造性の源で心身の健康にとって不可欠なものです。これが極端に高いとわがままで利己的になります。

    2. 順応した子供(Adopted Child : AC) 

      いわゆるイイ子の部分です。小さいころから周りの人たち(特に母親) の愛情を失わないため、周囲の期待や規則に合わせる部分です。協調性が高い分、自分の感情を抑え、社会の規範に沿って行動する傾向を持ち、それが強くなりすぎると嫌なことを嫌と言えず、ストレス  を心の中に溜め込みやすくなります。反対に、周囲の期待や規則への反応として反抗的な行動をとるのも順応した子供の自我状態に含まれます。また、自分自身がより良く生きていくために大変役立ちます。



人は他者との交流の場面やある出来事において、その人特有の対応をしたり考え方をしたりします。それが個性やその人らしさで、とても大切なものです。そして、そのときの自分の自我状態を知ることは、他者との交流をより良くしていくヒントになります。

例えば、 「私はお金持ちになりたい」という自分のCに対して、

自分のPはどのような反応をするでしょうか。

批判的なCPでしょうか、励まずNPでしょうか。

そして最終的にどのような決断をするでしょうか。

社会のルールに従ううえでは、CPとACが必要です。

自分を尊重 し、大切にするにはNPとFCが必要です。

そして、現実を客観的に検討するためにはAが必要です。

構造分析では、このように自分の自我状態を見つめていくことにより自分自身を知り、

そして、必要であればそれらをどのように変えていくかを検討していきます。

そのためには自分の性格傾向や特徴を、各自我状態の発生頻度をグラフにあらわした

エゴグラムなどによって知り、より良い人間関係を築くにはどのようにしたら良いかを

考えてみることも重要になってきます。



 

エゴグラム

CP、NP、A、FC、ACそれぞれの自我状態に給付される心的エネルギー量をグラフに表したものを エゴグラムと言います。

このエゴグラムは、人間の性格や行動パターンをとらえる優れた方法です。

エゴグラムを創案 したデュセイは最初、エゴグラムは直感的な判断をもとにして作成するのが

良いとしましたが、その後 より論理的で客観的なエゴグラムを描 くために

質問紙法を用いるテストがいろ いろと開発されてきました。

TEG (東大式エゴグラム) は十分な統計的処理に より標準化 され、

妥当性 ・信頼性についても検討された質間紙法エゴグラムです。

他に多数の心理テス トがありますが、カウンセリングにはこれで十分と言われています。

<TEG実施にあたっての諸注意> 

  • TEGは交流分析の理論に基づいているため、その使用に際しては、あらかじめ交流分析を学習することが大前提となります。
  • 心理テストはクライエントの性格特性をつかむための補助的手段なので、絶対視しないこと。クライ エ ン トには結果に善 し悪 しはあ りません。参考にするだけですと言い添えるほうが良いでしょう。
  • TEGは原則として、検査施行者が一 定の時間間隔を置いて1項ずつ読み上げ、それに従ってクライエントが記入する 「強制速度法 」によって施行 します。
  • 読み上げる時間間隔は、あまり短いときめられないし、逆に長すぎると考え過ぎて決められなくなります。年齢や言語理解の能力に大体歩調を合わせて読み上げると良いでしょう。一般的には1問 5~6 秒が適当でしょう。

エゴグラムを用いての自己変容

TEGで自分の性格特性を分析したら、次にその値を変化させる言動を行うことによって、

よりバランスのとれた自分への変容をはかることができます。

まず、自分が「こうありたい」と望む理想のエゴグラムを描いてみましょう。

そして、現在の自分のエゴグラムと比較して、低い部分を高 くするように考えていきます。

エゴグラムで1番値の高い自我状態は、あなたの性格特性の中心を担っていると

考えられるので、無理に縮めようとしてもあまり上手くいかないものです。

低い部分を高くすることで心的エネルギーの配分が代わ り、

他の部分への心的エネルギーの分配が減っていきます。

以下に各自我状態を高めるための具体的な方法をいくつか紹介します。

CPを高める

  • 「~した方がいい」は「~すべきだ」に変えて互る
  • 「どっちでもいいや」は「これじゃなきゃダメ」 に変えてみる
  • ルールや時間を必ず守るようにする
  • 一度目標を立てたらやり遂げる
  • 批判力を育て、違うと思うことはその場で指摘する

NPを高める

  • 誉め言葉を意識して使ってみる
  • 「ダメだなあ」は「残念だったね」に変えてみる
  • 相手の立場にたって発言してみる
  • 人の相談を親身になって聞く
  • ペットの世話をする

Aを高める

  • 「具体的に言うと・・・」と相手の話を確かめるようにする
  • 「いつ、どこで、だれが、何のために、どのようにして」を意識する
  • 行動する前に考える
  • 言いたいこと、やりたいことを書き出してみる
  • 疑間は徹底的に解決するようにする

FCを高める

  • 「どうしよう」は「なんとかなるさ!」に変えてみる
  • 「すごい!」「かっこいい!」など少し大げさに表現してみる
  • 喜怒哀楽をストレー トに表現す
  • スポ一 ツなど体を動かすことを楽しむ
  • 自分がワクワクすることを考える

ACを高める

  • 「こうしろ!」は「どう思う?」に変えてみる
  • 「独りでやるよ」は「ー緒にやろうよ」に変えてみる
  • 自己主張だけでなく、時には聞き役にまわる
  • 自分の意見にこだわりすぎず、相手の意見も受け入れる
  • 相手の気持ちや考えを確かめる

除外と汚染 

P·A·Cの三つの自我状態は、それぞれが独立していて、状況に合わせてP にもAにもCにも自由に移行できるとき適切に機能します。しかし、一つの自我状態から抜け出せなくなってしまったり、逆にある自我状態になれなかったり、または二つの自我状態が混ざり合ってしまうことがあります。このようなP・A·Cの境界が強すぎたり、逆に邦すぎることによる間題をそれぞれ除外と汚染と言い、構造上の病理とされています。

除外

ある自我状態が、個人の全体的機能から締め出されて機能しない状態を指します。下図①はCが除外されていることを表します。この人の場合、いわゆる真面目人間で、ほとんどリラックスしたり遊んだりせず、いつも義務感(P)にかられ、能率や合理性(A)を重視する傾向にあります。また、下図②はAとC の二つの自我状態が除外されてー貫 して P でいる状態 を表します。

汚染

自我境界が弱かったり、あるいは破壊したために、他の自我状態のエネルギーが自由に流れこむ現象です。下図③のようにAがPから汚染されている場合、A の客観性が損なわれ、常識や価値観といったものへのこだわりが強くなります。また下図④のようにCがAを汚染している場合も、空想と現実の境が曖昧になるなどの傾向がみられるようになります。下図⑤の複合汚染になるとAの働きは非常に硬化し、現実にもとづいた客観的な判断力が機能しづらくなります。

交流パターン分析

交流パターン分析では、日常的にやりとりする言葉、態度、行動などを

自我状態に分けて分析していきます。

ここで言う交流とは、言葉(バーバル)のやりとりだけではなく、

顔の表情や身振り、姿勢、声のトーンなどの非言語 (ノン・バーバル) も含まれます。

交流パタ ー ン分析ではこれ らのや りとりを分析 し、その基 となる交流の意図を探ることで、

自分の対人関係のあり方を見つめ、その場その時の状況に応じて

適切な言動をすることができるようになることを目的としています。

交流分析では、 コ ミュニケーションの種類を以下の3つに分類 しています。

  1. 相補的交流図1のように、刺激と反応のベクトルが平行なやりとりです。発信者の求めた情報はまつすぐに受信者に伝わり、発信者は受信者から自分の期待した役割からの反応を受取ります。発信者の求める役割に受信者が応えている相補的な関係ですので、やりとりはスムーズに続きます。
  2. 交叉的交流この交流では、図2のように二つのベクトルが交叉した形になります。期待した反応が期待した自我状態から返ってこないため、このとき話題にしていた コミュニケーションは途絶えてしまいます。話しかけた人は混乱、失望 という感覚を覚えます。
  3. 裏面的交流これは社会的レベルでの顕在的な交流(下図の実践で示される交流)と心理的レベルでの潜在的な交流(下図の点線で示される交流)の両方が同時に行われている複雑な交流です。表面的なやりとりの裏で、それとは異なる他の隠れたメッセー ジを伝えているのが特徴です。これは後述するゲームを理解するために欠かせない交流パターンです。



3つの理論背景

私たちの交流は、何を目的として行われるのでしょうか。交流分析では次の3つを交流の動機になるものとして挙げています。

1. ストローク

バーンはストロークを 「あなたがそこにいるのを私 は知っている」という存在認知の刺激と定義しています。ストロークは人間が生きていくうえで水や空気と同じようになくてはならないものであり、どのようなストロークを得てきたかということが個人の人格形成に大いに影響しています。ストロークは大別するとプラスのストロークとマイナスのストロークの2つに分けられます。誉める、微笑みかける、優しく頭をなでるなど、相手に 「自分はOKだ」と感じさせるものをプラスのストロークと言い、逆に、けなす、にらむ、叩くなど 「自分は駄目だ」と感じさせ るようなものをマイナスのストロークと言います。また「0 0 ちゃんは頭が良くてイイ子 ね」 といった、特定の条件や行動に対して与えられたものを条件付きのストロークと言い、「お前がお前だから好きなのよ」など、その存在自体に与えられたものを無条件のストロークといます。人は快・不快にかかわらず何らかのストロークの交換を求めているものです。そのため、相手の存在を無視する(ストロークを与えない) というのは最も強い否定になります。

例:父親が泣い ている子供に向かって 「なんでそんなに泣いているんだ! そんなに泣くことじゃないだろう」と、幾分強い口調で言ったとしましょう。この場合、この父親は子供に対して否定的な条件付きのストロークを与えていることになります。そ してここでもうーつ重要な点は、父親が子供をデイスカウントしているということです。

デイスカウントとは

値引き、あるいは価値の切り下げを意味し、相手や自分自身を何らかの形で大切な人間として扱わないことを指します。つまり相手の存在や行為を値下げ して見るということです。「そんなに泣くことじゃないだろ う」 と言った父親は、子供の訴えの深刻さや感情をディスカウントしているのです。人間関係の中で豊かさを感じるには、無条件の肯定的ストロークをより多 く交換することです。肯定的なストロークを得るための最も効果的な方法は自分もそれを他者に与えることです。

2. 時間の構造化

交流分析では、人が時間を過ごす様式を6つに分けています。この時間を 構造化する6つの方法は、ストロークを獲得するための具体的な手段として位置づけられています。人がストロークを得たい と思うときには、心の通う他者と共に時間を過ごす必要があります。しかし、そこで欲しいストロークが得 られない場合、あるいは他者と親密な関係を結ぶことを恐れる感情があるといった場合には、何らかの方法で社会的な状況を作り、そこで時間を構造化してストロークを得ることになります。   

  1. 閉鎖他者からのス トロ一 クを放棄して自分の殻に閉じこもること。
  2. 儀式挨拶などの決ま りきった社交的なや りとり。
  3. 雑談日常の出来事についてなどの無難な話題をめぐっての交流。
  4. 活動誰かとただ単に何かについて話 し合 う (雑談)のではなく、何らかの目的を達成するためにする行動。
  5. ゲーム「親交」で行われる素直なストローク交換ではなく、何らかの理由でそれがゆがんだ形になって繰り返されるもの。最後に決まって不快な感情を味わう。
  6. 親密互いに信頼 しあい、相手に対 して純粋 な配慮をしあ う交流。ストロークの交換がストレートであり、隠された意図がない。

これらの時間の構造化の様式で得られるストロークの強度は、1~6 の順に強くなります。その反面、それぞれの交流の中で自分が相手に受け入れられるか拒否されるかといったストロークの予測の不確実性が1~6 の順に増すため、心理的な危険(リスク)も増えると考えられています。

3. 基本的構え

人は幼児期からの成長の過程で、自分と他者に関して何らかの結論もしくは確信を得るに至ります。例えば、否定的ストロークを多く与えられ、その存在を大切にされずに育った子供は、 「私は愛 されていない。 私はOKでない」 とい う確信を持ち、それが残りの人生につきまとうことになります。交流分析では、人が自分自身と他者に対してどのように感じ、どのような結論を下しているかということを 「基本的構え」 と呼びます。基本的構えには以下の4つがあります。

  1. 私はOKである。あなたもOKである。(自己肯定・他者肯定)
  2. 私はOKでない。あなたはOKである。(自己否定・他者肯定)
  3. 私はOKである。あなたはOKでない。(自己肯定・他者否定)
  4. 私はOKでない。あなたもOKでない。(自己否定・他者否定)

人はー度ある基本的な構えをとると、それを強化することによって自分の世界を予測可能な状態にしておこうとします。そして、人生の重要な局面での行動の多くが、この自己概念である基本的構えを基に決定されます。人は自分のものとして採用した基本的構えに沿うように自分の人生の脚本を構成するのです。また、その基本的構えを基に自らの否定的な自己概念を確認するために繰り返される行動がゲームと呼ばれるものです。

※「OKである」 とは交流分析では 「人は誰で もOKである」とい うことを基本的な前提とします。このことは、人は誰でも人間としての価値があり、重要で、尊厳があるということを意味します。人は誰もがかけがえのない存在です。これは、「私は自分を自分として、あなたをあなたとして受け入れる」という存在に対する声明と言えます。あなたのすること(行動)を、私が好きでなかったり、受け入れないことがあったとしても私は常にあなたがあなたであること(あなたの存在)を受け入れる、ということが「あなたはOKである」 とい うことです。「私はOKである」とは、「私は生きることを保証されている」という基本的信頼と、「私は生きていくことができる」 とい う自分の能カに対する自信を意味します。OKであることは、安心感がある、愛されている、好かれている、生きる価値がある、楽しい、正しい、強い、できる、自由に振舞える、役に立つ、優れている、などの感覚として感じられるでしょう。

繰り返しますが、例え自分または他者をOKでないと感じていたとしても、自分または他者の行動がOKでないとしても、自分も他人も人間としての存在はOKなのです。



ゲーム分析

バーンはゲームを「明瞭で予測可能な結果に向かって進行 しつつある、一連の相補的、裏面的交流」と定義しました。時間の構造化の一つであるゲームは、愛情や注目を得るための率直でない交流を指します。表面ではもっともらしい説明や言い訳がなされますが、その奥に本人も気づいていない真の動機や目的が隠れています。またゲームは 「職場や家庭などにおける日常生活の中で、いろいろな形で繰り返されている人間関係のクセ」であると言えます。ゲームにはさまざまな種類がありますが、それらの結末はすべて基本的構えを証明するような形で終り、ある特定の不快な感情を伴うのが特徴です。

「はい、でも」と呼ばれるゲームの例

患者:「先生、胃痛がなかなか治らないんです。どうすれば治るでしょうか」 

医師:「心因性のようですし、しばらくゆっくり休んでみたらどうですか?」

患者:「しかし、今は休める状態ではないんですよ。子供がまだ小さくて…」

医師:「ご家族の方にお願いして、子供の面倒をみてもらったらいいのでは?」

患者:「それが、うちの家族は皆仕事が忙しくて頼めないんです」

医師:「それじゃリラクセーションを試してみてはど うですか ?」

患者:「それもやってみたんですが、どうも私には合わなくて…」

医師:「…」

この患者は、社会的レベルでは「治る方法を尋ねる」というAからのメッセージを送ってお り、

医師もそれに A で応えているよ うに見えます。 しか し心理的レベルでは、何とか援助をしようとする医師のPに対して、患者のCは医師のアドバイスをひとつずつ否定しています。患者は社会的なレベルでは適切なア ドバイスを得られずにがっかりしているように見えますが、注意深く観察すると、ひそかなこのゲームの目的である、相手に無力感を感 じさせることに成功したことによる勝利感に満ちたほくそ笑みが見られます。

また、医師が適切なアドバイスができない挫折感やその反動で怒りを感じるならば、医師はAではなくPでゲームに対応 していることにな ります。

以下にゲームをいくつか紹介 します。

「はい、でも」

相手に解決策を求めて相談しながら、解決策が示されるとそれに1つ1つ反論して、ついに相手に無力感を感じさせる。「あなたを何とかしてあげたいと思っているだけなんだいわゆるお節介な治療者が、他者からの助言を受け入れない患者との間で演じるゲーム。治療者は患者を治せない無力感 ・罪 悪感を軽減するために患者を責めたい気持ちに駆られる。

「キック・ミ ー 」

規則違反を繰り返したり、失敗を重ねることによって、自らをマイナスのス卜ロークを与えられる立場に追い込む。「あなたのせいで、こんなになったんだ」自らの過ちを認めずに自己を弁護し、相手に責任を転嫁し罪悪感を抱かせる。

「さあ、とっちめてやるぞ」

相手をやり込めて、上位に立っことを目的とする。相手の落ち度や失敗につけこみ、それまで抑えていた怒りを爆発させる。

「法廷」

第三者を巻き込んで、自分が正しいことを保証させようとする。



ドラマ三角形

カープマンはゲームを分析する うえで、下に示す 「ドラマ三角形」とい う図式を考案し、ゲームをするとき人は常に迫害者・犠牲者・救援者の三つの役割のうちのーつの役割を演じ、そ してこの役割を入れ替えなが らゲームは進展 していくとしました。

迫害者

やりとりの主導権を握っている人。支配的な力を発揮し、相手の行動を抑えたり指示したりする。主にCPが演じる役割。他者の価値と尊厳をディスカウントしている。

犠牲者

対立する人間関係において、その力のバランスを保っために犠牲になる人。主にACが演じる役割。自分は見くびられても拒否されても仕方のない人物であるとデイスカウントし、迫害者に同意している。

救援者

犠牲者を助けたり、迫害者を支持したりする人。仲介に入ったり、寛大な態度を示したりする。主にNPが演じる役割。他者(犠牲者)が自分自身のことを考えて自発的に行動する能力をディスカウントしている。

(三者でのゲームの例)

母:「こんなに悪い点を採ってくるなんて!もっと勉強しなくちゃダメよ」

子:「だってボク算数は苦手なんだ」

父:「そんなに怒ることはないだろう。勉強するだけが能じゃないさ」

母:「あなたがそんなふうだから、この子が怠けるんじゃないの。(子供に向かって)お父さんみたいになったらどうするの!?」

父:「なんだと!」

子:「お父さん、大きな声出さないでよ!」

上記の例で、それぞれ誰が誰に対して犠牲者、救助者、迫害者になっているでしょうか。ドラマ三角形の中では、それまで被害者であった人物が次の瞬間には迫害者になるなど、役割の入れ替え(スイッチ)が起こるのが特徴です。このような関係がー度作られると、登場人物の役割が入れ替わりなが ら、ゲームは延々と続いていくことになります。

ラケット感情とスタンプ集め

ゲームの結末には常にある特定の不快な感情を伴い ますが、これを交流分析では「ラケット感情」と呼びます。ラケット感情は、いろいろなストレス状況で経験される、なじみの深い、子供時代に学習し奨励されてきたにせものの感情で、大人の間題解決の手段としては不適切なものです。例えば、小さな男の子が大きな犬におびえてその感情を母親に表現したときに、母親がその子をしかったとします。このようなことが繰り返されると、その子は「おびえ」という感情を表現してはいけないこと、そしてそのかわりにどのようにすれば(例えば強がる)母親から自分の求めるストロークを得られるかを学んでいきます。つま り、周りを操作するために都合の良い行動を身につけ、その行動にあったにせの感情を作るのです。ゲームなどのラケッ ト感情を伴 う行動は、幼時に親 の愛情を得る手段 としてあるいは親を真似ることにより形成されたー種の条件反射ですので本人の自覚なしに発動しますそのため、本人は「頭ではわかっているのに、やめられない」という感覚を持ちます。

例えば「お酒を飲みすぎてはいけないと、頭ではわかっているのに止めることができず、結局飲みすぎて後で自己嫌悪に陥る」などです。

この場合の自己嫌悪がラケット感情です。

また、ラケット感情やその他の感情を貯め込むことを交流分析では「スタンプ集め」と言います。これは、買い物をした時にもらうスタンプからつけられた呼び方で、賞品と交換できるまで感情を貯め込んでおくという意味です。

悪感情は「茶色のスタンプ」

良い感情は「金色のスタンプ」

と言います。例えば、普段は職場で上司の言うことをおとなしく聞いている人が、何かのきっかけで突然激しい怒りを表わすといったことがありますが、これは上司に対する小さな怒りという茶色のスタンプを貯め込み、ちょうどある数までスタンプが貯まると景品と交換できるかのごとく、「さぁ、これ だけ我慢したのだから怒るぞ」と感情を爆発させているのです。また何か良いことをしたときに金色のスタンプを貯めて、「これだけ良いことをしたのだか ら」とい う理由を作った うえで、自分にご褒美をあげるということもあります。ゲームは決 しで愉快なものではないのに繰り返 され ます。

これは、自分が小さな子供のころに身につけた、周囲の世界から欲しいものを得るための戦略に、自分で気づかずに従っているからです。そしてゲー ムをする人は、その最後の段階でラケット感情を経験し、その感情をスタンプとして集め、それが十分に集まつたときにそれらを口実として何らかの報酬を得ることができます。これらの行動は、結果として自分が持っている基本的構えなどの自分や他人や世界についての信条が正しいことを確認し強化することになります。しかし、基本的構えが 「私はOKである。あなたもOKである」の人は、ゲームをする必要がありません。なぜなら、欲しいストロークを得るためにス トレートな交流をすることができ、自分も他者もディスカウントすることがないからです。また、このような人は、自分がどんなことをしようと何を感じようとそれを言い訳する必要がなく、楽しむために口実を作る必要がないため、茶色や金色のスタンプを集める必要もないのです。

脚本分析

私たちが人生の早期に体験した人間関係や出来事は、その後の人生の様々な場面での行動に大きく影響します。そしてそれらは、日常の人との関わりの中でなぜか同じ間題や行動を繰り返すといった形となって現れ、あたかも筋書きに従ってドラマを演じているかのように見えます。交流分析ではこれを脚本と言います。バーンは、交流分析の脚本を「人生早期に親の影響の下に発達 し、現在も進行中のプログラムを言い、個人の人生の最も重要な局面で、どのように行動すべきかを指図するもの」と定義しています。この場合の親の影響とは、両親あるいは保護射的役割を担う人たちとの間で実際に行われた交流を意味します。その中で無意識の人生計画を立て、その脚本に基づいて人生の重要な場面で行動を決断するのです。このような、幼少期から持ち続けている行動様式や感情的反応のパタ一ンを見つけ、それがどのような出来事によって生じたのかを分析するのが脚本分析です。例えば、幼い頃に両親が離婚したために、小学生になるまでに祖父母や親戚の間をたらい回しにされた子どもは「結局私はひとりぼっちだ。愛情なんて決して長続きしないものだから求めても無駄なんだ」という人生観を持つかもしれません。

あるいは、会社や生活の愚痴を話しながら、子供に対しては「ー生懸命勉強して、成功しなさい」といつも言っている親を見て、その子供は「世の中で成功することは難しい。私も親と同じで成功はできないだろう」と

結論を下すかもしれません。そして、このような幼い頃に経験したことをもとに下した自分の人生や自己像に関しての結論は、その人のその後の人生を支配しているかのように作用しその人の人生は自分が下した結論が正しいことを証明するかのように展開します。私たちは、自分の人生の物語を生まれたときから書き始めていて、4歳の時までにはその筋書きの要点を決め、小学校に上がる頃には物語の細部まで完成させていると言われています。全ての物語がそうであるように、この物語にも初めがあり中間があり終わりがあります。主役がいて悪役や道化役などの脇役がいます。主要なテーマがあり、悲劇であった り喜劇であったりサクセスス トーリーであったりします。物語の最初についてはすでに遠い過去のこととなり、それを書いたことにすら全く気づいていないかもしれません。しかし、気づいていなくても、私たちはずっと昔に書いた自分の物語を実践している可能性があります。その物語が人生脚本なのです。私たちはこの自分の脚本を知り、もしその脚本が今の自分にふさわしくないものであるなら、そこから脱却し、自律的に自分の人生を生きていくように変わることができるのです。




ブロトピ:更新報告ですよダンナ!(もしくはお嬢さんw)

 

ブロトピ:今日のブログ更新

 

ブロトピ:更新しました!

 

ブロトピ:今日のブログ更新

 

ブロトピ:ブログ更新通知

 

ブロトピ:Twitterで拡散し合う部